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ベジファーストは本当に効果的?炭水化物ラストで血糖値コントロール|健康と美肌を守る食事法を形成外科専門医が解説
私たちのクリニックでは「美」と「健康」は切り離せないテーマです。肌のハリや透明感だけでなく、内側の代謝の乱れも、美しさに大きく影響します。
『ベジファースト』美容や健康を意識する方々の間でも注目度が高まっています。
近年話題の「ベジファースト(野菜を先に食べる)」という食事順序ですが、これらの方法は本当に効果があるのか、また健康や美肌にどうつながるのか。
当院では美容と健康を両立させる食生活の提案をしていますが、形成外科専門医医の立場から、科学的エビデンスを踏まえて整理してみました。
なぜベジファーストは注目されるのか?
野菜に含まれる食物繊維は、胃腸で糖の吸収を緩やかにする働きがあります。食事の最初に野菜を食べることで、血糖値の急激な上昇(血糖スパイク)を抑えられる可能性があるのです。
実際に、日本国内の研究でも、糖尿病患者や健常者が野菜を先に食べると、食後血糖値やインスリンのピークがやや低下することが報告されています。
こうしたデータから、ベジファーストは「血糖値の急上昇を防ぐかもしれない食べ方」として注目され、メディアでも広く紹介されるようになりました。
ベジファーストの効果は限定的
ベジファーストは血糖値抑制の可能性があるとして注目されていますが、実際に効果が現れるかどうかは条件次第です。
- 野菜の量が少ない場合:1口分のサラダだけでは、食物繊維による吸収抑制効果はほとんど期待できません。研究では200g前後の野菜を先に摂取した場合が多く、日常的にはやや多めの量です。
- 糖質の種類や量が多い場合:白米やパンなど血糖値を上げやすい炭水化物を大量に摂ると、野菜を先に食べても血糖上昇を完全には抑えられません。
- 食べる速度が早い場合:急いで食べると咀嚼や消化の時間が短くなり、野菜の効果が十分に発揮されません。
- 食事全体のバランスが偏っている場合:野菜やたんぱく質の割合が少ない食事では、効果は限定的です。
プロテインファーストの効果
血糖値コントロールのもう一つの方法が、プロテインファースト、つまり「たんぱく質を先に食べる」方法です。たんぱく質を最初に摂ると、消化管ホルモン(GLP-1やGIP)が分泌され、胃の排出速度が緩やかになり、炭水化物の吸収速度が抑えられます。
複数の研究で、タンパク質を摂取することで、食後血糖値の上昇が穏やかになることが報告されています(Shukla et al., 2015; Nuttall et al., 1984)。美容の観点でも、血糖値の急上昇を抑えることは、糖化による肌老化のリスクを減らす意味で非常に重要です。
何を先に食べるかより、何を後にするかが大事
ベジファーストもプロテインファーストも、研究の条件では最後に炭水化物を摂るという流れが共通しています。つまり、まず何を食べるのかという議論よりも重要なのは、炭水化物を最後に摂る「カーボラスト」です。
国際的な研究でも、炭水化物を最後に摂取すると食後血糖値のピークが最大40〜50%抑えられ、インスリン分泌も穏やかになることが確認されています(PubMed, 2017)。
まとめると、「ベジファースト」「プロテインファースト」いずれも一定の効果はありますが、最も確実で現実的に効果を上げる戦略は 炭水化物を最後に食べること です。
実践例(美容・健康視点)
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前半:野菜 + たんぱく質
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中盤:よく噛んでゆっくり
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後半:炭水化物(ご飯、パン、麺類)
この順序にするだけで、血糖値スパイクを抑え、糖化による肌老化のリスクも減らせます。美容クリニックで患者様におすすめしている、簡単に取り入れやすい方法です。
野菜だけ、タンパク質だけを先ず!ではなく、炭水化物以外をバランスよく食べようと心がけるだけで健康的な食事になります。
健康・美容情報を信じすぎないためのアドバイス
最近はテレビやSNSで紹介される健康法や美容法が話題になると、「絶対にやるべき」と信じ切ってしまう方が多いです。
たとえば今回ご紹介したベジファーストも、その一例です。
確かに一定の条件下では食後血糖値の上昇を抑える効果があると報告されていますが、量や食べ方、食事のバランスによって効果は大きく変わります。つまり、「誰にでも効く魔法の方法」ではありません。
これはベジファーストだけでなく、他の健康・美容情報でも同じです。たとえば:
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「〇〇サプリで必ず肌がきれいになる」
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「朝だけ〇〇ダイエットで脂肪が落ちる」
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「〇〇エクササイズで必ず小顔になる」
いずれも研究やエビデンスが限定的で、個人差も大きく、条件が揃わなければ効果は期待できません。
美容や健康を守るためには、エビデンスの質や条件を理解したうえで、自分の生活に取り入れることが大切です。特に肌や体の内側の健康は、毎日の食事・睡眠・運動などの積み重ねが基本です。小さな習慣の積み重ねこそ、科学的にも美容医学的にも最も確実な方法です。
実際にあったベジファーストの誤解
今回、ベジファーストについて書こうと思ったきっかけは、先日知人と食事をしたときのことです。その方は「ダイエットや健康のため」と、料理が出る前にサラダを追加注文していました。確かに野菜をたくさんとることは良い習慣です。しかしその後、メインの料理も一人前すべて平らげていました。結局1人前+αのカロリー摂取をしているのです。
「サラダはほとんどカロリーがない」と思っている方も多いですが、これは大きな誤解です。たとえばレタスやきゅうりだけのサラダでも100gで約20kcal、これは大したことないですね。ただし、そこにドレッシングやトッピング(ナッツ、ベーコン、チーズなど)を加えると、1人前のサラダで200〜300kcal、場合によってはそれ以上になることもあります。
今回の知人のベジファーストのための追加サラダで総摂取カロリーはかなり増えてしまったのです。
この経験からもわかるように、ベジファーストは科学的に一定の効果がある方法ですが、やり方を間違えると逆効果になり得ます。野菜を先に食べるだけで安心せず、全体の食事量やバランス、ドレッシングやトッピングのカロリーまで意識することが重要です。
執筆者:西記念神戸アカデミア美と健康のクリニック院長 木谷慶太郎

日本形成外科学会 形成外科専門医
日本美容外科学会JSAPS 正会員
日本創傷外科学会会員 正会員
日本レーザー医学会 正会員
日本抗加齢医学会 正会員
アラガン社 VST(ボトックスビスタ)認定医
アラガン社 ヒアルロン酸バイクロスシリーズ注入認定医
経歴
2010
長崎大学医学部医学科卒業
2010
六甲アイランド甲南病院 初期臨床研修
2012
小野市民病院形成外科(現:北播磨総合病院)
2013
姫路赤十字病院形成外科
2014
神戸大学医学部付属病院形成外科
2020
西記念神戸アカデミアクリニック
2023
ルネッサンス美容外科神戸院 院長
2025
西記念神戸アカデミア美と健康のクリニック 院長就任

