コラム
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- 美容コラム
もし美容に1つだけお金をかけるなら「日焼け対策」ーその理由は”光老化”です
インスタ動画で「もし1つだけ美容にお金をかけるなら、日焼け対策」と答えました。
理由はシンプルで、肌の老化は“年齢”だけで決まらず、“光(紫外線)”で加速する部分がとても大きいからです。
この“光で進む老化”を、医学的には 光老化(photoaging / フォトエイジング) と呼びます。
有名な1枚:トラックドライバーの「左右で別人みたいな顔」

この写真、衝撃過ぎません?
光老化の話で必ず出てくる有名な報告があります。
長年トラック運転をしていた男性で、窓側の顔半分だけが極端に老化していたという症例です。
この写真は New England Journal of Medicineに掲載され、同じ人の左右差として光の影響を視覚的に示したインパクトの強い報告です。
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論文:Gordon JRS, Brieva JC. Unilateral Dermatoheliosis. N Engl J Med. 2012;366:e25. doi:10.1056/NEJMicm1104059
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ポイント:“同じ年齢・同じ遺伝子・同じ生活習慣”でも、光が当たる側だけ老化が進むことがあり得る
「窓ガラスがあるから大丈夫」ではない理由(UVAは通る)
多くの人が誤解しているのがここです。
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UVB(赤くなる日焼け)は窓ガラスでかなり減ります
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でも、UVA(老化に関与しやすい波長)は窓を通過しやすい
UVAは窓ガラスを通り、シワやシミなどの“早期老化”に関与するということは既知の通り。
窓ガラス・自動車ガラスの紫外線透過を扱ったレビューでも「ガラスはUVBを減らすがUVAは通しやすい」という点も既知の通り。
光老化が肌に起こすこと(ざっくり医学的に言うと)
光(主に紫外線、とくにUVA/UVB)で起きる変化は、見た目としては:
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シミ(色ムラ)
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小ジワ〜深いシワ
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毛穴の目立ち
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ハリ低下・たるみ感
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ざらつき、黄ぐすみっぽさ
中身では、ざっくり言うと:
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コラーゲンが壊れやすくなる/作られにくくなる
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弾性線維が変性(いわゆる“日光弾性線維症”)
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炎症と酸化ストレスが蓄積
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DNAダメージが積み上がる(=皮膚がんリスクにも関係)
ここが重要で、光老化は「見た目の老化」だけでなく、皮膚腫瘍(皮膚がんを含む)のリスクとも同じ紫外線が関わるという点です。
結論:だから“もし1つだけ”なら日焼け対策
美容医療や高級スキンケアは、もちろん価値があります。でも、それらは基本的に「加点」です。
一方、日焼け対策は「減点を止める」側。
どれだけ良い治療をしても、毎日じわじわ紫外線を浴び続けると、戻りやすい/追いかけっこになりやすい。
だから私は「1つだけなら日焼け対策」と答えました。
今日からできる、現実的な日焼け対策(優先順位つき)
1)毎日:広範囲(UVA/UVB)対応の日焼け止め
“焼けない日”でも“老けない日”ではありません。UVAは窓も通ります。
2)外出が多い人:帽子・サングラス・日傘(物理防御)
日焼け止めは「塗りムラ」「汗」「摩擦」で落ちます。物理的なものは裏切らない。
3)運転が多い人:窓対策(UVカットフィルム等)も検討
ガラスの種類でUVA透過は変わる、という整理があります。
光老化(フォトエイジング)Q&A
Q1. 曇りの日や冬でも日焼け止めは必要?
必要です。光老化の主因はUVAで、季節や気温に関係なく降り注ぎます。
「焼けない=老けない」ではありません。
Q2. 室内にいるだけでも塗った方がいい?
窓際で過ごす時間が長い人は塗る価値が高いです。UVAは窓ガラスを通りやすいので、在宅ワーク・車移動が多い人ほど差が出ます。
Q3. SPFとPA、結局どれを選べばいい?
簡単な目安はこれでOKです。
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毎日(通勤・買い物):SPF30前後 / PA+++ 以上
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屋外が長い日(レジャー):SPF50+ / PA++++
「SPF=UVB」「PA=UVA(光老化)」のイメージで。
Q4. どれくらいの量を塗ればいい?
多くの人が少なすぎます。目安は
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顔:パール2個分(または指2本分のライン)
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首までやるなら追加で。
量が半分になると、表示ほどの防御力が出ません。
Q5. 塗り直しは本当に必要?メイクしてると無理…
必要です。理想は2〜3時間ごと(汗・摩擦が多い日はもっと早め)。
でもメイクしてると塗りなおしは難しいですよね。
毎日使う日焼け止めの目安はSPF30,PA+++で十分なのですが、塗りなおしできないのであればSPF50,PA++++が良いでしょう。
それか、スプレータイプを使うなど。
Q6. 日焼け止めで肌荒れします。どうしたらいい?
よくあります。対策は3つ。
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低刺激・ノンコメド表記のものに変更
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いきなり顔全体ではなく、頬の一部で数日テスト
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**落としすぎ(強いクレンジング)**で悪化していることも多いので、落とし方も見直す
※かぶれっぽい、赤く痒いなら「合わない」可能性が高いです。
Q7. 「飲む日焼け止め」だけで十分?
絶対的に不十分です。補助的には効果ありますが、基本は塗る+物理遮光(帽子/日傘/サングラス)が主役です。
Q8. ビタミンDが不足しない?日焼け止めは体に悪い?
ビタミンDは食事・サプリでも補えますし、日常生活のわずかな曝露でもゼロにはなりにくいです。
「老化と皮膚トラブルを増やすほど日を浴びる」必要はありません。
Q9. ブルーライト(スマホ・PC)でも光老化する?
スマホ程度の光の影響は紫外線ほど強くありません。
ただし、可視光で悪化しやすいタイプのシミ(肝斑など)が気になる人は、可視光対応のベースメイクを選ぶ意味はあります。
Q10. どんな日焼け止めが「結局いちばん良い」?
“いちばん良い”は、毎日ちゃんと使えるものです。
ベタつきが嫌なら軽い使用感、乾燥するなら保湿系、肌が弱いなら低刺激。継続できることが最優先。
Q11. レーザーやフォトの後は日焼け止めどうする?
原則、日焼けは厳禁です。
ただし施術直後は皮膚状態や使ってる日焼け止めで「いつから塗れるか」が変わるので、クリニックの指示に従ってください(翌日からOKなことも、数日空けることもあります)。
Q12. 1日だけ徹底するなら、何を優先すべき?
優先順位は
①日焼け止めを十分量(たくさん塗る) ②帽子/日傘 ③サングラス ④塗り直し。
特に「運転・窓際・屋外」は差が出ます。
執筆者:西記念神戸アカデミア美と健康のクリニック院長 木谷慶太郎

日本形成外科学会 形成外科専門医
日本美容外科学会JSAPS 正会員
日本創傷外科学会会員 正会員
日本レーザー医学会 正会員
日本抗加齢医学会 正会員
アラガン社 VST(ボトックスビスタ)認定医
アラガン社 ヒアルロン酸バイクロスシリーズ注入認定医
経歴
2010
長崎大学医学部医学科卒業
2010
六甲アイランド甲南病院 初期臨床研修
2012
小野市民病院形成外科(現:北播磨総合病院)
2013
姫路赤十字病院形成外科
2014
神戸大学医学部付属病院形成外科
2020
西記念神戸アカデミアクリニック
2023
ルネッサンス美容外科神戸院 院長
2025
西記念神戸アカデミア美と健康のクリニック 院長就任

