目元の治療コラム
-
- まぶたのたるみ
- 眼瞼下垂
上まぶたのゆるみ(眼瞼下垂)と下まぶたのたるみ(目袋)
旅行先での記念写真や、食事会で友人と撮った写真を見たとき、「私、眠そうな目をしているなあ」「目の下もたるんで頬とのあいだに深いしわがあるよ…」と感じることはありませんか?
「眠そうな目」は医学的には「眼瞼下垂」の症状を表しています。年齢とともにまぶたを開く筋肉(眼瞼挙筋)の力が衰えて始めると、まぶたがぱっちりと開かなくなってしまい「眠そうな目」といった外見になっていきます。眼瞼下垂の方は上まぶたが凹んできて、疲れた・老けた印象を与えてしまう外見になることも多いです。
「目の下のたるみ・ふくらみ」は、美容用語として「目袋」と呼ばれることがあります。これは年齢とともに目(眼球)のまわりにある脂肪がゆるくなり、皮膚でできた袋の中に飛び出してきた状態なのです。
この「眼瞼下垂」と「目袋」が、同じ患者様に同時に生じていることがよくあります。その理由は、単にどちらも加齢による変化だからというだけでなく、この2つの状態は互いに直接的にリンクしているからなのです。
眼球とそのまわりの構造についてのお話をします。眼球というのは、脂肪を満たしたコップの中に浮かべたピンポン玉に例えることができます。実は、上まぶたの奥にある脂肪と、下まぶたの目袋の中にある脂肪は中でつながっているのです!
コップに浮かべたピンポン玉を、上からラップでぴったりと蓋をしてからコップを横にしても、ラップはあまりふくらみませんね。これは若い時の目袋の状態に似ています。それでは、ラップをゆるく、だらしなくピンポン玉にかけて蓋をして、コップを横にするとどうでしょうか。ピンポン玉の下に、脂肪でいっぱいになったゆるんだラップが袋のようになってコップから溢れそうに飛び出してきますね。ピンポン玉の上では、コップの中に空洞ができています。これが、年齢を重ねて生じてくる目袋と、上まぶたの凹みの状態を表しています。
さらには、眼瞼下垂がある方の場合、単に重力によって上まぶたの脂肪が下まぶたに移動するという以上に、上まぶたの脂肪はより下まぶたに押し出されるようになっています。
眼瞼下垂ではまぶたを挙げる眼瞼挙筋が弱くなっていますが、目を開ける必要から他の筋肉も含め上まぶたの筋肉全体が無理に頑張ろうとします。そうすると、筋肉がまぶたを、上、そして奥に引っ張ろうとする動きに引き連れられて、筋肉の周りにある脂肪も引っ張られ、奥に、そして眼球の奥を通じて反対側の下まぶた側、つまり目袋のほうに移動していくのです。
外見上、老けた印象に直結する下まぶたのたるみ、つまり目袋を改善するにはいくつかの方法があります。いずれも美容目的なので保険適応外ではありますが、もっとも効果的なのは下まぶたの「たるみ取り手術」です。これは、下まぶたの皺にそってゆるんで余った皮膚を切り取り、上まぶたから下瞼に溢れでて余っている脂肪を適宜減らします。先ほどのコップの例えで言うと、「ゆるくたるんだ」ラップをぴったりとかけ直すようなイメージです。次に効果的な手術として、下まぶたの「脂肪除去手術」があります。これは、皮膚を切開することなく、まぶたの裏側から目袋の中身の脂肪を取り出す手術です。手術後の腫れなどが少ないので、目袋がふくらんでいるが皺がない、つまり皮膚のゆるみが少ない方におすすめの手術です。他に、ヒアルロン酸や高周波による引き締めの方法もあります。
上まぶたのゆるみと下まぶたのたるみ、どちらもあって同じように気になる方は「どちらから治療すればいいのでしょうか?」と不安に思うかもしれません。診察をして患者様の状態に合わせてアドバイスさせていただいておりますが、現状としては上まぶたから治療すべき方の数が多い傾向にあります。なぜなら、上まぶたの眼瞼下垂の状態が下瞼の目袋に影響していますので、先に眼瞼下垂を治しておくと目袋が若干改善することがあります。そうすると、あとで下まぶたの治療をする場合も手術後の腫れも少なく、効果も高くなるわけです。
眼瞼下垂が原因で無理にがんばっている眼瞼挙筋の負担を手術によって軽くしてあげることは、保険適応の手術で可能です。
上まぶたの眼瞼挙筋の状態がどうなっているのかは、下まぶたの状態と密接にリンクしています。そのため、下まぶたの目袋の治療もただの目の下のたるみととらえるのではなく、上まぶたの状態も考慮にいれて進めていくことが良い結果を得るために大切です。 下まぶたのたるみが気になる方は、上まぶたの中の状態もふくめトータルに診断できるドクターの診察を受けることが望ましいのです。